カール・ハンセン&サンの名作椅子を長く使うには?

27/05/2025

カール・ハンセン&サンの名作椅子を長く使うには?

27/05/2025

デンマークの家具メーカーであるカール・ハンセン&サンと、北欧家具デザインの巨匠ハンス・J・ウェグナーによって生み出された『CH24』。その特徴的なデザインの背もたれから『ワイチェア』とも呼ばれ、発表から70年以上たった今も、世界中で多くの人々に愛され続けています。

見た目のデザインの美しさはもちろんのこと、高いクラフトマンシップから作り出されているこの名作椅子は、正しく手入れをすることで、世代を越えて受け継ぐこともできます。

ここでは、Yチェアだけでなく、他の椅子や家具にも使えるお手入れ方法についてご紹介していきます。

デザイン哲学に基づいた美しさ
ハンス・J・ウェグナーといえば、デンマークデザインを代表するデザイナーとして、現在のデザイナー達にも大きな影響を与えています。生涯で500脚以上もの椅子をデザインしたといわれており、数々の名作家具を世に遺した人物でもあります。そんな彼のデザインを代表する逸品としても知られているのが、Yチェアです。

一体化した背もたれとアームが描くなだらかな曲線美と、それに安定性を与えるY字の背もたれは『Yチェア』と呼ばれる由来にもなりました。

ハンス・J・ウェグナーは、単に家具としての機能性を追求するだけでなく、美学と実用性の調和を目指すという哲学に基づいてデザインを生み出してきたと言われています。彼は素材の質感や形状のバランスを重視し、手に触れる感覚や視覚的な魅力をデザインに組み込むことに情熱を注ぎました。

Yチェアもまた、その哲学に基づいてデザインされており、余計な装飾を排した美しさと、座った人を包み込むような安定感が特徴となっています。

彼はまた、シンプルでありながらも奥深い美しさを持つデザインを通して、人々の日常生活を豊かにすることを目指していたとも言われています。デザインを通じて「物と人との関係性」を大切にし、人々の日常に溶け込む家具を作り続けたのです。

メンテナンスの重要性
その機能性の高さと、シンプルなデザインの美しさから、どんな空間にも溶け込み、さらに独特の存在感を醸し出してくれるYチェア。いつかは自分の家にも迎え入れたいと考えている方も少なくないのではないでしょうか。

こうした、いわゆる名作と呼ばれる家具は、高いクラフトマンシップに基づいて作られているため、日常生活の中でも定期的なメンテナンスを行って大切に使うことで、親から子へ、世代を越えて愛用し続けることも可能になります。言い換えれば、どんな機能性に優れた名作と呼ばれる椅子でも、使い手側が丁寧に扱うことができなければすぐに傷んでしまいかねません。

ここでは、具体的なメンテナンス方法について、いくつかご紹介していきましょう。

ソープ仕上げ
Yチェアを自宅で手入れする際の方法として、まず一番に挙げられるのがソープ仕上げと呼ばれるものです。これは、文字通り、石鹼液を使って椅子を磨き上げていくものです。

こう聞くと、「え!?石鹸水で椅子を磨いたら逆に傷んでしまわない?」と思ってしまう方もいるかもしれませんが、Yチェアは基本的に白木で作られています。そのため、石鹸液を塗ることで、石鹸の脂肪分が木の導管に残り、汚れが付着しにくくなるのです。こまめにソープウォッシュを行うことで日常生活の中での汚れも落ちやすくなるため、白木の美しさを長く楽しむことができます。新品時はだいたい一ヶ月に一度ぐらいの頻度で行いますが、この手入れを繰り返すことで、木部の表面は少しづつ汚れに強くなるため、最終的には2ケ月に一度など、もう少し長い間隔で手入れを行うだけで良くなってきます。

ソープ仕上げの方法
方法はシンプルそのもの。まず、石鹸をカッターでフレーク状に砕いて、大さじ1杯(約10g)ぐらいをお湯カップ1杯(約200ml)で溶かします。石鹸水が泡立ってきたら、スポンジを浸して軽く絞り、木目にそって洗っていきます。この時、水分ではなく、スポンジで泡をすくって泡で撫でるイメージで洗っていってください。さらに、汚れなどで黒ずんでるところがあれば、重点的に撫でていきましょう。また、汚れていない部分でも石鹸液で椅子全体を拭いていくことでムラなく仕上げることができます。

椅子全体を撫で終わったら、残った泡を柔らかいタオルで拭き取っていきます。この時、拭き残しがあるとシミの原因になりかねません。その後、日陰でよく乾燥させます。間違っても、ドライヤーの風や直射日光で乾燥させないようにしてください。急激な感想は、割れの原因になります。乾燥にどれだけ時間がかかるかは、季節や住んでいる場所によっても大きく異なってきますが、最終的には完全に乾いてることを確認してから使いましょう。

乾燥させたあとに、 万が一、表面に繊維の毛羽立ちなどを感じる場合には、#400番手以上の細かいサンドペーパーを使って全体を軽く研磨してくださいね。

オイル仕上げ
白木の美しさをいつまでもキープしたい、楽しみたい、という方にはソープ仕上げがお勧めですが、それとは逆に、使い込むほど色合いが変わっていく経年変化を楽しみたい、という方にはオイル仕上げがお勧めです。

これは、年に年に2〜4回ほどの回数で乾性オイルを木部に染み込ませる仕上げ方法で、オイルが浸透して乾燥することによって木の導管が埋まり、湿度の変化や汚れなどにも耐性のある木部にしてくことができます。白木とはことなり、表面が濡れ色になるため、木の美しい風合いがより際立ちます。また、使い込むほどに深みのある落ち着いた色に変化していくのも、長く使う中での楽しみ方のひとつと言えるでしょう。

オイル仕上げの方法
まずは先述したように石鹸水を作り、スポンジを使って古いオイルをぬぐい取っていきましょう。その後、オイルをウエスに少量取り、木目に沿って全体に薄くのばします。5〜10分ほど置いてから乾いた柔らかい布で拭きtていきます。

風通しの良い日陰で、約一日ほど、しっかり乾かします。この際も、天日で乾かしたりしないように気をつけてください。よく乾いてることを確認したら、メンテナンス終了です。